【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます
「グレイシャー……!」
フランチェスカが名前を呼ぶとグレイシャーはいつものように『グルル』と返事を返す。
「グレイシャー様は何故、悪女を庇うのですか!?」
「だが……これ以上、呪いを振り撒く前に殺さなければ聖獣が魔獣になってしまう!」
皆はフランチェスカを殺せと言って、護衛達もこちらに剣を向ける。
心が絶望に覆われていく中、一筋の光が差し込んだ。
「──待ってくれ! 俺はどうにかしてシュネーを救いたいっ! フランチェスカとシュネーを傷つけることは許さない」
遅れてやってきたのはフランチェスカの婚約者でこの国の王太子であるレオナルドだった。
レオナルドはフランチェスカを守るように前に出た。
急いで来てくれたのか額には汗が滲んでいる。
「これ以上、フランチェスカを責めるのはやめてくれ。皆も武器をおろせ! フランチェスカとシュネーは皆を救ってくれたんだ。それを忘れた訳ではないだろう?」
「レオナルド、殿下……信じてくれるのですか?」
「ああ、もちろんだ。グレイシャーが守ろうとしているのがその証だ。どうにかしてシュネーを救おう!」
レオナルドの言葉にフランチェスカは頷いた。