【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます
シュネーに顔を埋めながら理由を説明したフランチェスカに戸惑いつつも母と父は顔を見合わせている。
契約して喜ぶことはあっても涙することはないからだ。
ビビーとリリに挨拶を終えたシュネーは舌を出しながらフランチェスカの膝の上へと戻ってくる。

フランチェスカは両親に「疲れたので部屋に戻ります」と告げて小さいシュネーの体を撫でながら、懐かしい毛並みに顔を擦り寄せていた。
シュネーも疲れたのかフランチェスカの膝の上で気持ちよさそうに眠ってしまった。
そしてフランチェスカはこれからどうしていけばいいのかを考えながらシュネーの体を撫でていた。

『もう……嫌』

そう強く思ったフランチェスカの願いを叶えるようにシュネーは真っ黒に染まった。
あの時の恐怖を思い出してしまう。
フランチェスカは強張った体をリラックスさせるように大きく息を吸って吐き出した。

これからシュネーと自分自身の身を守るために何をすればいいのか。
それとフランチェスカのレオナルドの婚約者になるという未来は多少なりとも変わったのではないだろうか。
契約の儀の時にレオナルドに関わることもなく、グレイシャーにも口止めをした。
グレイシャーの毛がドレスにベッタリとついてしまっていたが、それはいくらでも言い訳できるだろう。
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