【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます
(リリーは長毛で白い猫だわ。万が一、そのことを問われたらリリのものだと答えましょう)

そしてこれからはシュネーの力を公にすることなく過ごさなければならない。
今ならばわかるがフランチェスカが何も知らないのをいいことに、シュネーの力とフランチェスカは利用され続けていたのだ。
それを守ろうとしてくれたのはレオナルドだけだった。
レオナルドだけはいつもフランチェスカを気遣ってくれた。

(……レオナルド殿下)

今でもレオナルドとの温かい記憶が蘇ってくる。
それと『悪女』と呼ばれて剣で斬られたあの痛みも思い出すのだ。

(あんな思いをするのはもうたくさんだわ!わたくしはもうレオナルド殿下とは関わらない)

フランチェスカはシュネーを撫でる手を止めた。
シュネーの力を伏せるのはいいが、マラキの病はシュネーの力でなければ治せない。
どうにかしてマラキの病を治したいと思っていたフランチェスカはあることを思いつく。

(そうだわ!この力は誰にもバラさない。今、両親にもバレないようにマラキだけこっそりと治せばいいのよ)

もしシュネーの力がわからずに何もできなかったとしても、両親はフランチェスカを見捨てたりしないだろう。
そうすればシュネーの噂が広まらないだろうと思ったフランチェスカは立ち上がった。
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