【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます
「ち、ちっ、違うわ!」

「そんなに動揺していたら自分だって言っているようなものじゃないか」

「きっ……気のせいじゃないかしら?」

「でも僕はシュネーの体が光っていると姉上の姿を見たよ?」

「……っ!」


フランチェスカはグッと唇を噛んで、テーブルに手をついてから勢いよく立ち上がった。
テーブルの上にある食器が擦れてガチャリと大きな音を立てる。実際に見られているとしたらもう言い訳はできない。となればフランチェスカのやることはただひとつである。


「マラキ、お願いっ!このことは誰にも言わないで欲しいの。お父様やお母様にも内緒にして!」


マラキはマゼンタ色の瞳がフランチェスカを真っ直ぐに見つめながら首を傾げている。
聖獣が強い力を持つことは素晴らしいことで内密にする必要もない。
シュネーの力は強力で貴重なものだ。
病が治るならばどんなことをしてでも治したい……皆、そう思うだろ。

フランチェスカはそういう人達の欲望や必死に生にしがみつく姿を嫌という程、たくさん見てきたのだ。
人々に必要とされて、誰もが見せびらかしたいと思う力を内緒にして欲しいというフランチェスカを見て不思議に思うのは無理もないだろう。


「シュネーの力は内緒にしたいの!この力は……みんなに利用されてしまう。大切な人を不幸にしてしまうの」
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