【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます
シュネーはというと相変わらずボールのように跳ねて飛んでと元気よく庭を走り回っている。
体は泥や土で薄汚れることはあっても、部屋の隅で動かなくなることはない。
毎回、記憶と照らし合わせながらシュネーのことを見守っていた。

(もし突然、シュネーの具合が悪くなったらどうしましょう)

そう考えて首を横に振った。
もう二度とシュネーを悲しませたくないと誓ったあの日から、フランチェスカは周囲の幸せを考えていた。
フランチェスカもシュネーも城にいた時よりもずっと自由で幸せだ。

ただひとつ、ぽっかりと心に穴が空いているのはレオナルドとグレイシャーのことだろう。
エディマーレ男爵邸にも時折、レオナルドの噂は届くのだが、彼に新たな婚約者ができるのではないかとフランチェスカはソワソワしていた。
しかしレオナルドは婚約者どころか浮いた噂もない。
キャシディの名前を聞かないことも不思議に思っていた。

(今頃、キャシディ様は何をやっているのかしら……)

なんせ田舎すぎて王都の噂はほとんど流れてこない。
それが救いでもあるのだが、気にならないかと言えば嘘になる。
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