【書籍化】もふもふ聖獣と今度こそ幸せになりたいのに、私を殺した王太子が溺愛MAXで迫ってきます

フランチェスカはヤナとポールを連れて久しぶりに王都を歩きながら買い物をしていた。
この後、宿に到着したらそれぞれヤナとポールは家族の元へ向かう予定だ。

(今回は清楚に見えた方がいいわよね。何を着ても田舎貴族って馬鹿にされてしまうだろうけど。このアクセサリーは値段の割に高見えするわ！あっ、このドレスもお買い得……でも色はあっちのドレスの方がいいかもしれないわ)

両手にドレスを持ちながら真剣に考え込むフランチェスカの耳に届いたのは気になる話だった。


「ねぇ……知ってる？グレイシャー様が元気ないそうなの」　

「えぇ、聞いたわ。グレイシャー様の張る結界が弱まって辺境には魔獣が入り込みはじめているんでしょう？」


フランチェスカはその言葉に顔を上げた。心臓がドキリと音を立てた。
グレイシャーが弱っているというのも初耳だったが、辺境に魔獣が入り込んでいるとう話を聞いてゾッとした。
何故ならばエディマーレ男爵領も辺境に近い。
もしグレイシャーの結界がなくなってしまえば男爵領も危険に晒されてしまう。