自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!

 *

 王城の大広間には沢山の人々が集っていた。ここぞとばかりにご令嬢方は、この日の為にあつらえたドレスを翻しながら男を誘う。貴族夫人は我が子をアピールするため扮装していた。

 いつの時代も男と女の駆け引きが行われるこの場所は、ある意味戦場だ。特に未婚の男女や、未婚の子供がいる親たちは、目をギラつかせ品定めをするように相手を見ている。そんな視線を無視して、リリアーヌは嫉妬や憎悪、特に殺意の悪感情のこもる視線に意識を向ける。さすがにこんな場で殺意をダダ漏れにさせている人間はそういない。それでもリリアーヌは目を光らせ大広間を見渡した。一瞬何かが引っかかり、意識を集中させる。

 すると、一人の騎士と目が合った。

 ルーニ?

 ルーニは私と目が合うと嬉しそうに手を振り、笑顔を向けてきた。

 もう、ルーニったら……『こら、集中』と口パクで伝えると、またルーニがニコッと笑った。いつもと変わらない人懐っこい笑顔だったが、ルーニはすぐに顔を逸らしてしまった。


 建国祭は王の口状から始まった。

 ローズとリリアーヌは王族のいるすぐ近くで、その時を待った。

 本日は建国祭と言う名目で格国の代表が集まっている。この良き日に、ドミニク殿下とローズ様の婚約発表をすることとなっていた。そのため、ローズ様を守る役目としてリリアーヌが呼ばれたのだ。こんな日にローズ様を害する者が現れるとも分からない。リリアーヌはキラリと瞳を光らせ、回りを警戒した。



< 109 / 140 >

この作品をシェア

pagetop