自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
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「本日は皆に報告がある。このめでたい良き日に、我が息子ドミニク王太子と、ダスト公爵家令嬢ローズ嬢との婚約を発表する」
王の言葉に会場にいた人々がいっせいに拍手喝采した。会場が祝福の声で溢れる。そんな時でもリリアーヌ達は回りを警戒することを怠らない。今のところ危険は無さそうだが、こんな時が一番危険だ。周囲の目が一つに集中している時こそが、奇襲をかけるのには最適だからだ。私ならこのチャンスを見逃さないだろう。
しかし奇襲を掛けてくる輩は現れず、建国祭は滞りなく進んでいった。そんな時、リリアーヌはローズ様に声を掛けられた。
「リリアーヌ、お化粧を直したいの。付いてきてくれる?」
「仰せの通りに」
リリアーヌは一礼してから、ローズ様をエスコートするように隣に立つ。
「リリアーヌは、本当に王子様みたいね。回りの女性達が羨ましそうにこちらを見ているわ」
そう言えば回りからの視線がやけに……。
女性達がぽーっとこちらを見ているのが気になるが、グランツ様に報告をしないと。リリアーヌはグランツに向かって指を動かした。
『ローズ様と共に少し離れます』
『了解した』
このハンドサインは本当に使えるわね。
今度は騎士団の全員に覚えされて、実践で使ってみようかしら。……ってそんな事を考えている場合では無いわね。今は集中しなければ。リリアーヌは回りを警戒しながら、ローズ様用に用意された一室の扉を開いた。
特に変わった様子は無さそうだ。
部屋のチェックを済ませ、ローズ様を部屋の中へと促した。すると、何処から現れたのか侍女数名がリリアーヌを取り囲んできた。
「……へ?」