自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!

 *

 化粧直しを終えたローズ様と共に、リリアーヌは大広間に入った。ローズ様を守る様にリリアーヌは後ろを歩いていたのだが、ローズの後ろを歩くリリアーヌの姿に皆の視線はくぎ付けとなっていた。

 柔らかそうな蜂蜜色の髪に大きなペリドット色の瞳、スラリと長い手足は白くシミ一つ無い。ローズが振り返り、リリアーヌに微笑めば、リリアーヌも微笑む。その姿に大広間がざわめいた。

「あの女性はどちらのご令嬢だ?」

「お美しい」

「どうにかお近づきになれないだろうか?」

 男達から熱い視線が降り注ぎ、リリアーヌの全身にまとわりつく。リリアーヌはその視線を無視して、ローズ様の後ろを歩いて行く。ドレスを着ていたとしても今は仕事中なのだ、しかし今は帯剣していないため上手くスイッチが入れられない。どうしたものかと考えながら、ローズ様をドミニク殿下に引き渡す。これからダンスを踊るのだろう。それを見守るため後ろへと下がろうとしたその時、男性達に取り囲まれてしまった。

「お嬢さん、お名前をお聞きしても?」

「お美しいお嬢さん、一緒にダンスを踊って頂けないでしょうか?」

「私ともダンスを……」

「いや、私と……」

 次々にダンスを申し込んでくる男性達。



< 113 / 140 >

この作品をシェア

pagetop