自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
あの人の裏切り
それから建国祭は滞りなく進んでいった。残るは最後の王の言葉のみ。建国祭は最後に王がこの国の発展を祝い口上を述べて締めくくられる。
後もう少しで終わる。
無事に全てが終わると、騎士達が気を緩み始めていた時だった。
「ドン!」と大きな音を立てて大広間のドアが開いた。皆が驚き視線を音のした方へと向けると、黒フードの男達がなだれ込んで来た。その光景は王太子殿下の誕生祭の再現の様だった。
襲撃、どうして……。
あんなに巡回して街も城内もあんな男達が入り込める隙なんて無かったはずなのに……。
あれだけの監視の目を搔い潜るなんて……。
そんな事をリリアーヌは愕然と考えていると、黒フードの男達は王族のいる王座目掛けて突き進んでいく。リリアーヌは王族とローズ様を守るため前に出るも帯剣していないことに気づいた。
しまった……今はドレスを着ているため剣をもっていない。
グッと奥歯を噛みしめた時、大きな背中が私を守る様に立ち塞がった。
「リリアーヌ、大丈夫だ」
グランツ様……そうだ、ここにはグランツ様がいる。
黒フードの男がグランツ様に剣を振り上げる。それをグランツ様は大剣を使いなぎ払っていく。
強い。
戦場で、幾千の敵を倒してきた英雄。
この人に任せておけば大丈夫だと、思わせてくれる。
人々を守るために戦うその姿に、皆が見惚れた。