自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
その様子を見ていたリリアーヌは安堵しホッと息を吐き出した。そしてグランツに駆け寄った。
「グランツ様、大丈夫ですか?腕を見せて下さい。今止血を」
「ああ、大丈夫だ。もう止血はすんでいる。傷はさほど深くない」
「そうですか、良かった」
リリアーヌはグランツの胸に自分を預けた。
安心する。
この人が無事で良かった。
心からそう思い、目を瞑りグランツの温もりを感じていると、不意に視線を感じた。ゆっくりと瞼を開きペリドット色の瞳を彷徨わせるとルーニと目が合った。
ルーニ……。
その瞳はユラユラと揺れていて、大粒の涙を流していた。
悲しそうに、切なそうに、こちらを見つめているのに、嬉しそうに笑っている。
その表情に、リリアーヌは違和感を覚えた。
「ルーニ……?」
リリアーヌが声を掛けたその時、ルーニが口に何かを入れるのが見えた。
何?
今飲み込んだモノは一体何?
嫌な予感がする……。