自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
リリアーヌはルーニが楽になるよう、自分の膝にルーニの頭をのせた。するとルーニが手を伸ばし、私の頬に触れた。気づくと私は涙を流していたんだ。それに気づいたルーニが指で涙を拭ってくれた。
「ああ……恋い焦がれたあなたが……ハァ……こんなに近くにいる。リリアーヌ……さま……あなたを……っ……お慕いしていました。どうかお幸せに……。最後に……ウソで……いい……好きだと……ハァ……言って下さいませんか……」
ルーニの最後の願いを聞いたリリアーヌは首を左右に振った。
言えない。
ウソでも私はその言葉をルーニに言うことは出来ない。
「ごめんなさい……」
リリアーヌは俯くと、涙を流した。
そうこうしている間に、ルーニの呼吸がどんどん浅くなっていく。
「謝らないで下さい……リリアーヌ様は……ハァ……ウソがハァ、付けない人ですね……」
ふふっ……とルーニが力なく笑った。
「そんな誠実な……あなただから……ハァ……俺は……好きにっ……なったんだ……好きでした……ハァハァ……大好きでした……」
最後にルーニがにっこりと笑った。
それはいつも見ていた人懐っこい笑顔だった。
「リリアーヌ……さま……」
ルーニはゆっくりを息を吸い込みフーッと吐き出した。それがピタリと止まる……まるで時が止まってしまったかのように、動かなくなってしまったルーニ。まるで私達だけが置いてきぼりにされたような気がした。
ダメよ……ダメ……。
ルーニ……。
もう一度笑ってちょうだい。
リリアーヌ様って、手を振って……。
人懐っこい笑顔で私の名を呼んで……。
ダメ……ダメ……ダメ……。
「いやぁぁぁーーーー!!」
リリアーヌの叫び声が大広間に響き渡った。
グランツや騎士達はその様子を後ろから見つめながら拳を握りしめていた。
そしてグランツが奥歯を噛みしめながら呟いた。
「バカヤロウが……」
それを聞いた騎士達がすすり泣いた……。