自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!

 *

 ルーニが自害して三ヶ月が経っていた。リリアーヌは王都から少し離れた小高い丘へとやって来ていた。

 あの日、ニールが私の腕の中で息を引き取ったとき、後悔した。

 私はどうしてウソでもいい、ルーニを好きだと言ってあげられなかったのか……。

 あなたは私を恨んでいますか……。

 リリアーヌが今いる小高い丘は、王都の街並みがよく見える場所。王都の美しい街並みを見ていてもリリアーヌの心が晴れることは無かった。

 ルーニを思い心が痛む日々。

 ルーニは王族暗殺未遂という大罪を犯したため、その遺体は火葬され何処かに捨てられた。墓は作られることも無く、司祭の祈りも無い。その魂は一体何処に行くのだろう。それが大罪を犯した人間の末路なんだと人々は言う。仕方の無いことなんだと頭で分かっていても、瞼を閉じればルーニの人懐っこい笑顔が浮かぶ。

 ルーニの選択は最悪なモノだった。しかしそれまでのルーニは心優しい普通の青年だった。ルーニはガルレシアの黒フードの男達を引き入れる手はずを整えながらも、その事実を密かに漏らしていた。ルーニは裏で私達騎士団に向けメッセージを送っていたのだろう。誰も傷ついて欲しくないと、ルー二の部屋から見つかった日記に書かれていた。ガルレシア王国の人々に振り回される人生に悩み苦悩し、涙していたルーニ。

 どうしてその胸のうちの気づいて上げられなかったのだろう。

 どうして相談してくれなかったのだろう。

 もし、気づけていたら運命は変わっていたのだろうか……。

 そんな事を考えたってもう遅いというのに……。

 リリアーヌは膝を折ると、手を組み祈った。

 ルーニを思い安らかに眠って欲しいと……。

 そんなリリアーヌの肩をそっと抱いたのはグランツだった。

 彼もまた悲痛な表情を浮かべていた。

 リリアーヌは祈りながらポロポロと涙を流した。それは太陽の光を浴び、輝きながら地面にしみ込んだ。



< 133 / 140 >

この作品をシェア

pagetop