自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
ルアルドは気弱で心優しかったルーニが、国外追放となりずっと心配していたと言うことだった。ルーニの国外追放については国民もルアルドも一部の王族をのぞき何も聞かされていなかったらしい。もともと城でひっそりと暮らしていたルーニがいなくなっても誰も、何とも思わなかったのだとか。
しかしルアルドは違った。
兄の国外追放となった理由や、その後どうしているのかを密かに調べていた。そして自分の父であるガルレシア王の犯している罪に辟易していったという。
「父……ガルレシア王は罪を犯しすぎた。このままではガルレシア王国は地図から消えることになるでしょう。それは良いのですが、兄一人の罪となったあの事件の真相だけでも明らかにしたいのです。あれは王の命があったモノのだと、全ては国のため、人々のために兄は命を落としたのだと、国民に知ってもらいたい」
ノアルドの拳は小刻みに震えていた。
ずっとやるせない気持ちでいたのだろう。
それはリリアーヌ達も一緒だった。
「父はルーレンス王国との講和条約を簡単に破るような人だ。今後もルーレンス王国に対し、見くびるような態度をとることは必須。民に寄り添うこともせず、戦争も簡単に引き起こすことでしょう。誰かが止めなければならないのです。しかし、第一王子である王太子に話をしてもバカにされるばかり……王太子と王は異口同音で、こちらの意見を聞いてくれない。それならば自分が動くしか無い。兄のためにも民のためにも俺が……」
伏せていた顔をあげたルアルドの顔には決意の色が表れていた。
この青年に力を貸してやりたいと、謁見の間にいた人々は強く思った。
その時、ドンッと陛下が杖を床に突いた。
「ガルレシアの第五王子ルアルド・ガルレシアにルーレンス王国は手を貸そう。そして勝利の暁にはそなたが国を納めるのだ。そしてもう一度講和条約を結び直す。良いか?」
ルアルドはルーレンス王の前に跪き頭を垂れた。
「王の御心に感謝いたします」