自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
*
全てが終わる革命の日がやって来た。
グランツ様と私は今、ガルレシア王の前に剣を突きつけながら、愚かな王を冷ややかに見つめている。
「ガルレシア王よ、覚悟しろ」
「貴様、わしはこの国の王なのだぞ」
「それがどうした?お前についてくる者などもうどこにもいない。さあ選べここでの死か、それとも断罪か。最終的には死刑だろうがな」
グランツ様の金色の瞳がガルレシア王を睨みつけた。リリアーヌ様もその横で青緑色の瞳を光らせる。
ガタガタと震えるガルレシア王国の前にルアルドがやって来た。
「ガルレシア王、民を苦しめ、兄さんを苦しめた償いを受けてもらいます」
「ルアルド貴様、裏切るのか!」
「そうですね。俺は裏切り者だ。この国は俺に任せてください」
「何だと!」
「この国は地図から消える。新たな国のトップとして私が立つ」
「貴様が王になれるものか!」
ルアルドは冷ややかな目をガルレシア王に向けた。
「あなたはもうお終いです。私が良き王になれるよう空から見守っていて下さい」
これは死刑宣告だ。
お前は死刑だから空から見守れと。
それを聞いたガルレシア王は、その場に頽れた。その場にいたガルレシアの王太子も拘束され、ガルレシア王の思想を持つ王族は断罪され幽閉されることとなった。一生外に出てくることは出来ないだろう。
終わった……。
リリアーヌは拘束されるガルレシア王を見ながら、冷たい眼差しを向けていた。
それから慌ただしく時は過ぎ、ガルレシア王国は地図から消え、新たにルーノニア王国が誕生した。そこには王となったルアルドがいた。まだ幼さの残る王だが、きっとこの国は大丈夫だろう。
ルーニの罪も無辜となった。
全てはガルレシアの元国王の罪となり、ルーニは国のため、権力や支配に抗いながら国民の為に奔走し、命を落としたと伝えられた。その心優しい王子に民衆達は涙した。それは詩人達の詩となり語り継がれているんだとか……。そして、ルーニの墓が旧ガルレシアであるルーノ二アに作られた。大罪人として火葬され捨てられたはずのルーニだったが、グランツ様が密かに埋葬してくれていたことが分かったのだ。ルーニはルーレンスからルーノ二アに移され、その墓の前にはいつも花が供えられているらしい。兄を最後に救ってくれたと、ルアルドは涙を流しながらグランツ様に感謝をしていた。
ルーレンス王国に戻ってきたリリアーヌは、街を見下ろせる小高い丘にやって来ていた。
「ルーニ、終わったよ……。孤独だったあなたを今は皆が愛している。あなたはこんなにも愛されている」
リリアーヌは目を瞑り、手を組むと祈った。
その瞼の奥に人懐っこい笑顔が浮かんだ。