自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
*
二年後……。
グランツと鮮血姫の活躍により勝利を収めたルーレンス王国は、ガルレシア王国とアルファオ王国に対し講和条約を制定した。それにより戦争は終結し、平和が訪れた。戦争をふっかけてきた二カ国には戦後処理の賠償を多めに頂くことになったが、二カ国が敗北国となった今、それは仕方の無いことだった。
そんな平和の訪れた舞踏会にて、ご婦人方の口から囁かれる言葉。
「聞きまして?」
「ええ。あの鬼神が結婚なさるとか……」
「あのような鬼と?」
「それで?その鬼とご結婚なさるご令嬢はどなたですの?」
「シモレンツ辺境伯のご令嬢らしいですわよ」
「まあ……あの、社交界にも出られぬほど病弱だと言う?」
「お可哀想に……哀れなこと……」
「これでは生け贄ですわね」
社交界……そこは光輝く世界、しかしその反面ご婦人方が面白おかしく噂を流すドス黒い世界。
そんな煌びやかな社交界で、尾ひれのついた噂話が広がっていた。