自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
まだ離れた場所にいる俺の耳にも聞こえてくる、街全体に響き渡るような透き通る声が聞こえてきた。皆の視線が声の主に集まる。
「キャーー!碧青の騎士様よ!」
あれが噂の碧青の騎士……。
颯爽と現れた彼女は、躊躇すること無く、自分より大きな男二人の間に割って入って行く。そして二人の男の拳を両手で受け止めた。
ウソだろ……。
あんなに細い腕で、あの男達の拳を止めるなんて……。
呆気に取られながら、俺はその様子を見つめていた。
男二人は、まさか自分の拳が自分達より小さな……しかも女性に止められるとは思ってもいなかったのだろう。唖然と自分の拳を見つめていた。
「一旦冷静になりなさい。一体何があったのですか?」
碧青の騎士と思われる女性が男二人に尋ねると、どうやら二人は親子らしく、仕事について話しているうちにヒートアップしてしまったらしい。つまりは、ただの親子喧嘩だ。よく見れば二人はよく似ていた。