自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
心配になりグランツ様の顔を覗き込みながら、コテンと首を傾げてみる。するとグランツ様が視線を逸らしてしまった。
あれ?
グランツ様どうされたのかしら?
右手で口元を覆ったまま、肩を振るわせている。顔を逸らされてしまったため表情はわからないが、グランツ様から怒りの圧の様な物は感じられない。
これなら大丈夫かしら?
リリアーヌからぽわわわんっとした空気が漂う。その空気感を振り払おうとグランツが「ゴホンッ」と咳払いをした。それからカイス達に向かって声を張り上げる。
「お前達は鍛練時間に、リリアーヌと何をしていた。さっさと戻って鍛練に励め」
そう言ったグランツにカイスが食いついた。
「団長、リリアーヌって、こちらのお嬢さんは……?」
「呼び捨てで呼ぶな。リリアーヌは俺の妻だ」
「「「えぇーーーー!!」」」
「そんなぁー……団長が結婚したのは知っていたけど、こんなに可愛い奥さんだったなんて……」
恋をした瞬間に失恋し、叩き潰されたカイスはガクリと肩を落とした。
「カイス何か文句でもあるのか?」
「ありません……」