自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
髪もサラに結い上げてもらい、ドレスと同色のリボンでまとめ上げた。化粧もいつもよりも丁寧に施してもらい、もはや別人の様な見た目となったリリアーヌは王城へと急いだ。馬車に揺られ王城前まで到着すると、すでに沢山の貴族の乗った馬車で渋滞していた。王太子殿下生誕祭の舞踏会の馬車列に並び、その時を待つ。そして何食わぬ顔で登城した。舞踏会の入り口となる大きな扉の前では、警備の騎士の他に近衛騎士が配置され、招待状の確認と貴族の本人確認の為に列が出来ていた。リリアーヌは当然その列には並ばない。何せ招待状が無い。ここに並んでいても中に入ることは叶わないのだ。
さて、ここからどうするのかしら……。
サラに視線を向けると、すました顔でサラが誘導し始めた。
「リリアーヌ様、こちらへ」
そう言うとサラは何の迷いも無く、城の奥へと進んでいく。
えっ……ここ?
サラは何も無い壁の前に立ち、当たり前の様に隠し扉を探し出し、中に入って行った。その後をリリアーヌも続く。
すごい……。
さすが王城、隠し通路が存在するなんて……しかし、それを簡単に調べ上げてくるサラは優秀過ぎるのか、それとも城の警備が緩すぎるのか……。サラが優秀なのだと信じたい。