自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!

 かくして、隠し通路を進み、何度か右折左折を繰り返し行き止まりまでやって来た。サラが壁に手を当てペタペタと確認しながら音をさせないよう気をつけながらを壁をずらした。

「リリアーヌ様、合図をしたら出て下さい。ここを出たら会場内です」

「分かったわ」

 スッと呼吸を整え、サラの合図を待つ。

「リリアーヌ様」

 サラの合図で壁がずらされ、会場内を何食わぬ顔でたたずんだ。暗い通路から出て、目の眩むようなシャンデリアの光に、クラリとしそうになるのを体幹を使って踏ん張る。そっと自分が出てきた場所を確認すると、すでに壁は元に戻っていた。回りを確認してもこちらに気づいている人間はいないようで、潜入が成功したことにホッと胸を撫で下ろした。リリアーヌは目立たないよう壁際により、回りの様子に注意を払う。少しでも怪しい動きをする人物がいるようなら近くにいる騎士に声を掛けよう。リリアーヌは顔を動かさないようにしながら、視線だけで騎士の配置を確認していると、招待客が全員登城し終えたらしく、入り口の大きな扉がしまった。もうすぐ王太子殿下の生誕祭が始まるのだろうが、王族の登場までしばらく掛かるだろう。その間、貴族達は各々楽しんでいる。ある者は噂話を、ある者は自慢話を、ご婦人達は自慢のドレスや宝石を褒め合い、牽制する。顔は笑っていても、心の内は絶対に見せ合わない。口元を隠した扇がそう言っているようだった。そんなご婦人方が身につけたドレスが会場を華やかに彩る。それを恋人や婚約者、家族が満足そうに見つめていると、王族登場の声が掛かった。


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