自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!

 最初に壇上に姿を現したのは、この国ルーレンス王国の国王レスター陛下だ。それに続いて王妃ファリア陛下、王太子ドミニク殿下と第一王女リーリア殿下が姿を現した。その後ろには王族を守る様にいかめしい顔をしたグランツ様が控える。グランツ様がそこにいるだけで、空気がピリリと震えた。

 今日の騎士服は正装様で、いつも着ている騎士服より装飾が沢山施されている。特に胸に沢山付いた勲章はグランツ様の功績を称えていた。

 今日は一段と格好いい。

 黒の騎士服がとても似合っているわ。

 しかし、貴族達の反応は違った。

「見て下さいな。あの、恐ろしいお顔……」

「今日も不機嫌そうにして、少しはニコリと出来ないのかしら?」

「ホントに、今日は王太子殿下の生誕祭だというのに……」

 護衛をするグランツ様がニコニコ出来ないのは、護衛のために集中しているからでしょう。何も分かっていない貴族のご婦人の声にイラッとしてしまったリリアーヌは、ぷくっと頬を膨らませた。それも一瞬、サラが見ていたらまた怒られるわね。それに殺気を放てば、きっとグランツ様に気づかれてしまう。リリアーヌはすぐに感情を抑えるため、スッと肺に酸素を取り込み吐き出した。



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