自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!

 うめき声と共に、騎士が次々に床に転がり、黒フードの男達が王族のいる奥へと進もうとしていた。男達はよほどの手練れなのだろう。剣に迷いやブレが無く、騎士の急所目掛けて剣が振り降ろされる。黒フードの男達は、騎士を倒し更に先に進んでいく。すると会場の中央に一人の新人騎士が立っていた。この騎士が倒されれば、後は王族のいる所まで突破されてしまう。

 新人騎士は足をガクガクとさせながら、剣を構えていた。何とも頼りないが今はこの騎士に頼るしか無い。取り残された貴族達がそう思ったその時……新人騎士に向かって走り出す一つの影があった。

 それはリリアーヌだった。

 リリアーヌと新人騎士との間は、長いテーブルで塞がれていた。そのためリリアーヌは床を蹴り上げると、テーブルの上に上がり、ガシャガシャと音を立てて新人騎士の元へと向かった。剣も無いまま勝機があるとも思えない状況だが、このまま中央突破されるわけにはいかない。

 リリアーヌがテーブルから飛び降りるのと同時に、サラの声が聞こえてきた。

「リリアーヌ様これを!」

 飛んできた剣を受け取りながら床に着地すると、流れるように剣を抜き、黒フードの男達と向かい合った。黒フードの男達と対峙し、一秒と無く男がこちらに向かって飛びかかってくる。リリアーヌは黒フードの男の剣を自分の剣で受け止め、前に出ると、反転しながら剣の柄を男の腹部に突き刺した。くぐもった声と共に男が倒れる。



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