自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
脳内の思考が停止してしまったかのように動かない。
「……さま。……リリアーヌ様!しっかりなさって下さい。大丈夫です。何も心配いりません」
「でも……バレてしまったわよね」
「それは……ですが、あのご様子なら……」
サラが何かを言っていたが、その言葉はリリアーヌ耳をすり抜けてしまう。
はぁーー。
私はグランツ様に何て言えば良いの……。
私が鮮血姫だったことはバレているだろう。
辺境拍領で毎日のように剣を振るい、戦では血にまみれ駆け回っていた。あなたの……グランツ様のお力に少しでもなれればと……。あなたの背中は私が守るのだとそれだけを思い。南を守るグランツ様を思いながら、北である辺境伯領を守り抜いた。
あなたが背後を気にすることの無いようにと……。
こんな血まみれで、野蛮な女は離縁されてしまうだろうか……。
グランツ様の元婚約者はとても美しい、淑女の鏡のような人だった。その動きはいつでも洗練されていて、微笑むたびに男性も女性も頬を染める。
この人には天地がひっくり返ろうがかなわない。
そう思い知らせれたことが、幾度もあった。
それは戦争が始まる前の夜会での出来事……。
私は高鳴る胸を押さえグランツ様に会いに行ったんだ。
6歳のあの日に出会ってから、始めてあなたに会いに……。
グランツ様は私の事を覚えているかしら?