自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!

 *

 部屋に案内されたリリアーヌは違った意味で悲鳴を上げていた。

「キャーー!サラ、見た?見ましたか?グランツ様!生グランツ様!どうしましょう……思っていた以上に凜々しくて、格好良かったわ!」

「思いっきり眉間に皺を寄せていましたが……良かったですね」

 リリアーヌの耳にサラの声は届かない。グランツの格好良さを思い出し祈るように手を組みながら、部屋の中をクルクルと回っていた。

「ああ……燃えるような赤い髪、大きな体躯はしっかりとした筋肉で覆われていて、金色の瞳が輝いていたわ。最高に格好良かった」

 先ほどのグランツに思いを馳せるリリアーヌ。

 あまりにも格好良すぎて、一瞬見とれ過ぎて時間が止まったわ。昔出会った頃とは違う容姿に驚いたけれど、困った様に笑う姿は変わっていなかったわ。

 それもそうよね。

 あれから12年も経っているのだから……。




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