自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
ゆっくりと庭を堪能しながら歩いていると、何人かの令嬢達の笑い声が聞こえてきた。
楽しそう。何をしているのかしら?
高くなった垣根の向こう側から聞こえてくる、小鳥のさえずりのような可愛らしい声に誘われ、リリアーヌは垣根に沿って歩いて行く。すると、垣根の途切れた場所に立てられた東屋で、数人の女性達がお茶を楽しんでいた。美しく咲き誇る花々の中にいる女性達は、まるで物語の主人公のようだ。
ボーッと東屋でお茶を楽しんでいる女性達を眺めていると、こちらに気づいた一人の女性が近づいてきた。
「あなたはそこで何をしていらっしゃいますの?」
ハッと我に返ったリリアーヌはすぐに、カーテシーで頭を垂れた。
「申し訳ありません。とても美しかったため、見とれてしまいました」
「まあ、それはお花にですの?」
「いえ、ご令嬢方にです」
そう言葉にすると、目の前の令嬢が微笑んだ。
「まあ、まるで男性のような褒め言葉ですのね」
ほほほっと嬉しそうに笑った令嬢の後ろから、一人の美しい令嬢が現れた。
「楽しそうね。一体どんな話を……あら?……あなたグランツ様の奥方ではなくて?」
この方は……。
リリアーヌは目の前に現れた令嬢に動揺し、挨拶も忘れその場に立ち尽くした。