自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
頭を垂れたままの状態で、国王の言葉を待つ。
その間、緊張で押しつぶされそうになり、心臓がドクドクと音を立てる。背中には冷たい汗が流れ、ドレスをつまむ手は冷たく、体が震えてしまう。そんな私の横に寄り添うようにグランツ様が並び、震える私の手をその大きな手で包み込んでくれた。
グランツ様……。
嬉しくて、思わず顔を上げてしまいそうになるのをグッと我慢する。
王の許しが無ければ顔は上げられない。
「リリアーヌ・サライヤス、この度の働きに感謝する。頭を上げよ」
「その様なお言葉、もったいなく存じます」
更に深く頭を垂れてから顔を上げると、国王の隣にいた王妃様が微笑みながら声を掛けてくれた。
「そんなに硬くならないでちょうだい。命の恩人にお礼を言いたかっただけなのだから。サライヤス婦人、先日はありがとう」
「私はこの国の民として、王族の方々をお守りしたまでです。お礼を言われるほどの事はしておりません」
それを聞いた王族の面々の顔が緩んだのが分かった。王さえも口角を上げている。
「リリアーヌ・サライヤス。そなたに褒美を考えている。何か欲しいものはあるか?」
そう言われたリリアーヌは両手にグッと力を入れ息を吸い、大広間に響くような声で王と対峙した。
「何でもよろしいのですか?」
その問いに、大広間がどよめいた。