自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!

 リリアーヌが泣きながら微笑むとルーニが頬を染めながら、ブンブンと首を左右に振った。それがおかしくて、クスリと笑ってしまった。そんなリリアーヌを見たルーニが何かを言おうと口お開き掛けたとき、聞き慣れた低い声が聞こえてきた。

「そこで何をしている?」

 大股で歩いてきたグランツ様がルーニの手を払いのけ、私の手を掴んだ。

「ルーニこれはどういうことだ?説明しろ」

 グランツの強い口調に、ルーニがたじろいでいる。

「だっ……団長……俺は……」

 ルーニが視線をこちらに向けてきたその時、それを遮るようにグランツ様が私の前に立った。いつもより低い声のグランツ様……そっと顔を上がると視線の先には、ルーニを睨みつけるグランツ様の顔があった。その顔を見たリリアーヌは無性に腹が立った。先ほどまでローズ様の前で膝を付き誓いを立てていたのに。

 一体何に怒っているのか……。

 私への独占欲?

 違う……。

 所有物を取られそうになって腹を立てる子供のようなものなのか……。

 心がぐちゃぐちゃする。

 リリアーヌはグランツ様に握られていた手を思わず払いのけた。リリアーヌがそんな事をするとは思っていなかったのだろう。グランツ様が目を見開いてこちらを見た。

 きっと私が怒っている理由も分かっていないのだろう。

 大好きなのに大嫌い。

 リリアーヌはプイッと顔を背けると、グランツ様に冷たく言い放った。

「グランツ様、申し訳ありませんが、私は先に帰ります」

 二人を残して私は屋敷に逃げ帰った。




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