自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
シンと静まり返る空間で、グランツ様がフーッと息を吐き出した。
それを聞き、リリアーヌの体がビクリと震える。
何となくだが、グランツ様がこれから口にする言葉が分かった。
「リリアーヌ……俺といることが苦痛なら……離縁するか?」
離縁……?
その言葉にリリアーヌはヒュッと息を吸い込んだ。
グランツ様は私では無くローズ様を選ぶと言うことなのだろうか……。
喉の奥がヒリつき、思うように声が出せない。
息苦しくて、ハッハッと息が漏れた。
あなたの隣にいるだけでいい。
どんなにあなたがローズ様を思っていようとも、今隣にいるのは私なのだと思っていた。
わがままは言わない。
そう思っていたのに欲が出た。
あなたの瞳に映りたい。
私を見て欲しい。
愛して欲しい。
いつかローズ様ではなく、私を……そう願っていたのに……。
私ではダメなんだ。
ジワリと込み上げてくる感情が抑えきれない。
泣いてはダメだ。
ゆっくりと深呼吸を繰り返し、感情を押さえ込む。