自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!

「グランツ様がローズ様をお慕いしているのは知っています。私が邪魔者だと言うことも分かっています。でも……それでも、私はグランツ様が好きなんです。大好きなんです。離れたくない。ずっと、ずっとあなただけを思ってきたのです。ローズ様の隣に立つあなたを見るのは辛かった……あなたの近くにいられるのなら、それでもいいなんてウソ。どんなに近くにいても、あなたの心が欲しい」

 苦しい……切ない。

 この思いがあなたに届かないことが、こんなに辛いなんて知らなかった。

 片思いだったあの頃の方が、辛くても幸せだったなんて……。

 一方通行のこの思いを胸に秘め、剣を振るったあの頃。

 あなたが南を守なら、私が北を守ろう。

 あなたが安心して剣を振るえるように。

 あなたの背中を守のは私でありたい。

 私は誓いを立てた。

 私はあなたの盾になる。

 この恋が叶わなくとも……。

 そう思っていたのに……。

 あなたの心が欲しいと言ってしまった。

 今までの思いをぶちまけると、それと同時に涙が溢れ出した。

 止めどなく流れる涙が頬をつたって、ポロポロとこぼれ落ちていく。

「グランツ様……どうか、私を捨てないで……」

 それはワガママだと分かっていても、言わずにはいられなかった。

 リリアーヌは両手を組み祈るようにグランツを見上げた。すると潤んだ瞳が、グランツの瞳を捕らえる。

 交わる視線……リリアーヌの視線の先では、グランツが呆けたような顔をしたまま立ち尽くしていた。






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