自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
*
これはどういうことだ?
「グランツ様……どうか、私を捨てないで……」
泣きながらそう訴えるリリアーヌ……。
カタカタと震えながらこちらに思いをぶつけるいじらしい姿に、体が熱くなる。
俺は……離縁がしたいわけでは無い。
その思いに応えてやりたい。
でも今は……。
リリアーヌに答えられない。
くそっ!ダメなんだ。
しかし、体は勝手に動いていた。
「リリアーヌ……」
グランツはリリアーヌに駆け寄り、目の前で震えるその体を、そっと包み込む様に抱きしめた。
「リリアーヌすまない。少しだけ待ってもらえるか?俺は……」
そこまで言って俺は口をつぐんだ。
ダメだ。
これ以上は……。
そんな俺を見て、リリアーヌは泣きながら、無理矢理に微笑んで見せた。
「グランツ様、良いのです。あなたがこうして抱きしめてくれるだけで幸せです。グランツ様の心がローズ様にあっても……」
「違う!!」
俺はリリアーヌの言葉を聞き、声を荒げた。それから奥歯を噛みしめ、グッと言葉を詰まらせた。
リリアーヌは自分への思いを素直に口にしてくれたというのに……。
どうすれば……。
「グランツ様……?」
心配そうにこちらを覗き込んでくるリリアーヌの姿に、胸が締め付けられる。
「リリアーヌ、違う……違うんだ。三日……いや、一日で良い。俺に時間をくれ。必ず説明をする」
グランツはリリアーヌを抱きしめていた腕に力を入れた。するとリリアーヌは俺の腕の中でコクリと頷いた。