自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
サラからグランツ様へと視線を戻すと、グランツ様がフイッと視線を逸らした。その横顔は赤くなっていて、まさかと思ってしまう。私達夫婦はすれ違いが続いたため、夜を共にしていない。
イチャつく……イチャつくとは……。
まさかそう言う……。
そこまで考えて、ボンッと顔が赤く染まる。
グランツ様はそうしたいってこと?
嬉しいけど恥ずかしくて、グランツ様の顔がまともに見られない。
モジモジと体を揺すっていると、グランツ様もソワソワとしていて、そんな姿を見ると私と同じなのかと嬉しくなってしまう。二人見つめ合いほんわかとしていると、サラから溜め息が聞こえてきた。
「お二人とも、二人だけの世界に入っているところ申し訳ありませんが、本当にこのまま夕方になってしまいますよ。旦那様、馬に二人乗りするのでしょう?さっさとリリアーヌ様を馬に乗せて出発なさって下さい」
「あ……ああ、すまない。リリアーヌ行こうか」
「はい」
差し出された手を取りリリアーヌは馬に乗った。いつもは一人で乗る馬だが、二人で乗ると何だかむず痒い。グランツ様が馬の手綱を持つとまるで後ろから包み込まれているような錯覚に陥る。今日はワンピースのため帯剣していない。そのせいで不安に思っていたが、この人なら絶対守ってくれるという安心感があった。ソワソワしながらそっと後ろに体重を乗せると、グランツ様の厚い胸板が……。
くっ……振り向かなくても分かる。
今、馬に乗るグランツ様は格好いいに決まっている。
背筋を伸ばし、前を見るグランツ様はいつでも堂々としていて格好いいのだ。グランツ様の愛馬であるスパークも、誇らしげにグランツ様と私を乗せてくれていた。
青い空……今日は良い日になりそうね。