自国最強の騎士団長様は私が守ります。だって私、世界最強ですから!
*
町に入り馬を預けると、グランツ様と並んで歩いた。
こんな風に並んで歩くだけで嬉しくて、ドキドキする。
もう少し寄り添っても大丈夫かしら……。
そっとグランツ様の腕に触れると嬉しそうに腕を差しでしてくれた。そんなちょっとしたことが嬉しくて、二人見つめ合って微笑んでいると、何やら町の様子がおかしい事に気づく……。いつもなら声を掛けてくれる町の人々が、遠巻きにこちらを見ていて、近づいてくる気配が無い。
今日は休みだし、こちらを気遣ってくれているのかしら?
そう思いこちらから近づいて行くと、蜘蛛の子を散らす様に人々が立ち去っていく。
どういうこと?
グランツ様と視線を合わせながら首を傾げると、更に町の人々からの視線を感じた。
それは冷ややかな視線で、居心地が悪い。
人々からこのような視線を向けられるような事をした覚えは無いのだけれど……。
「グランツ様……」
「ああ、分かっている。理由は分からないが、歓迎はされていないようだ。近場の店に入って少し様子を見よう。ついでにあれを試してみるか」
「あれですか?」
楽しそうに口角を上げるグランツ様を見て、リリアーヌは呆気に取られる。グランツ様はこんな状況だというのに楽しんでいるようだ。
すると早速、グランツ様の手が動く。
『この店に入ろうか』
『はい』
店に入るとウエイトレスの少女が、物凄く嫌そうな顔を隠そうともせずにやって来た。
「空いている席にどうぞ」
態度も言葉も素っ気ない。
『ここで良いか』
『大丈夫です』
席に着き、とりあえず食事を注文をして大人しく食事が出てくるのを待つ。
『リリアーヌはどう思う?』
『何が起こっているのか分かりません』
『そうだな……』
『皆が私達を気にしているのは確かですね』
『何故あのような目で見られるのか……』
二人で首を捻る。