【短編】夏空よりも眩しいきみへ
眩しすぎて、見れない
「足立って、最近なんかいいよな」
「……っ」
は?という声を飲み込んで顔を上げると、前の席に座る永岡が、口元を緩めながら教室の一点をじっと見つめていた。
恐る恐る、その視線を目で追えば、軽く毛先が跳ねたポニーテールが揺れているのが見えた。
その瞬間、
「わかるかも!足立、あの髪型、似合うよな」
後ろから俺の肩を掴んだ大江が話に入ってくる。
最悪だ。
「もしかして永岡、足立狙い?」
「いや、狙いってほどでは。俺にはレベル高すぎる。けど、やっぱりいいよな。最近サッカー部でもよく名前出るんだよ」
「うわ、まじか。じゃあ、吉川先輩が足立狙ってるって噂って……」
「結構まじっぽいよ」
永岡のそのセリフに、息が止まった。
吉川先輩といえば、3年で1番かっこいいと人気の人だ。性格も良くて、男女問わず慕われているという。
足立 羽奈は、俺の幼稚園からの幼なじみ。
と言っても、小5の頃から話さなくなってからは、まともに話したことないんだけど。
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