【短編】夏空よりも眩しいきみへ
団地のすぐ近くの小さなスーパー。
あの頃よりも、だいぶ寂れた気がする。
風の噂で、羽奈も中学の途中に引っ越したって聞いたから、もうここにはいないだろうけど。
何かを期待してしまう自分がいて恥ずかしい。
店内に入ると、冷房が強く効いていてものすごく涼しい。
汗が乾いていくような感じがして、店内を歩いていると、少し寒いと思えるぐらい。
俺は一目散に、アイス売り場に向かい、ショーケースを覗き込む。
懐かしいを探そうと、必死に。
「うわっ」
思わず小さく声が出る。
あった。
ショーケースの奥の端っこに、この中で1番安いアイスキャンディーが。
すぐ手にとってみるけれど、あの頃よりもアイスがちょっと小さくなった気がする。
俺が大きくなったから?
少ししんみりした気持ちになりながら会計を済ませて、急いで公園へと向かう。
目と鼻の先。
団地と階段で繋がっているそこは、ブランコとすべり台だけのシンプルな公園。
たしか、2つほどベンチがあったかも、と記憶を辿りながら向かっていると。
……え。
見えてきたベンチと、そこに座る1人の人。
先客がいた……。
大きく心臓が跳ねる。