【短編】夏空よりも眩しいきみへ
中1の文化祭が始まる時期。
羽奈が学年の人気者といい感じだと言う話を聞いたことがあった。
羽奈はモテる。
控えめで、目立つことが苦手な彼女だから、初めのうちは彼女の良さに気がつく人は少ないのだけれど。
時間が経つにつれて、その魅力に気付く人は増えていった。
……ほら、今だって。
入学式から4ヶ月、クラスの奴らだけじゃない、先輩にまで目をつけられているんだから。
教室の真ん中で友達と談笑している彼女を横目でチラッと見る。
目を細めて満面の笑みで笑う羽奈。
眩しい。
彼女の、その笑顔が好きだった。
最後に向けられたのが、あんな悲しそうな笑顔だったなんて、信じたくない。
「てかさ、四谷って、足立と同中じゃなかった?連絡先とか持ってねぇの」
「はっ、やっ……持ってねぇ……」
「え、まじ!?それ先に言って!中学の頃の足立ってどんなんだった!?モテてた!?卒アル見せろよ!」
明らかに動揺した声を漏らしてしまったが、彼女のことで頭いっぱいの大江にそのダサい声はかき消された。