女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 唇をギュッと噛んだら、玲人くんが私の唇に触れてきてハッとした。
「噛むな。唇の傷が酷くなる。別に優里を責めてるわけじゃない」
 もっとしっかりしろとか説教されるかと思ったが、玲人くんは話を変えた。
「あと、お前のアパート、解約するから。週末引っ越し手伝うよ」
「それは大丈夫。冷蔵庫とか洗濯機は備え付けだし、いらない物処分したら、もう服くらいしかないんだ。週末までに部屋をいつでも引き渡せるよう整理してくるよ」
 もうこれ以上玲人くんの手を煩わせたくなくてそう答えたら、彼が学校の先生のような口調で注意する。
「なにかあった時のためにスマホは持っていくように。優里はトラブルメーカーだから」
「……はい」
 信用されてないな。でも、これだけやらかしてるのだから、注意くらいするよね。
 しゅんとなって返事をすると、玲人くんが掛け時計を見た。
「……もう十二時か。今日はもう寝ろ」
「あっ、うん。ちょっとキッチン片付けてから休むよ。おやすみなさい」
 ソファから立ち上がって彼にそう返すと、キッチンに行って明日の食事の仕込みをする。
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