女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 今夜はソファで寝よう。
 彼は書斎に行ったのか、物音がしない。
 自分の仕事のこともあるのに、私の問題まで処理して、すごく疲れただろうな。
 早く自分の生活を立て直さなきゃ。
 仕込みが終わると、リビングのソファに座って玲人くんからもらったスマホを弄りながら、四条総合病院の近くにいい物件がないか探す。
 敷金、礼金、家賃、新しい家電や寝具の購入。
 奨学金の返済や祖母の老人ホームへの月々の費用を考えると、引っ越しなんて当分無理。
 でも、何カ月もここに居候するのは申し訳ないし、玲人くんのストレスになるんじゃないのかな。
「なに新しい物件なんか見てるの?」
 背後から玲人くんの声がしたかと思ったら、彼にスマホを取り上げられた。
「あっ……ちょっと。返して」
 手を伸ばしてお願いするけれど、彼は返してくれない。
「引っ越し先考える前にやることあるよね?」
 スマホの画面を消すと、スーッと目を細めて私を見据えた。
「は、はい。しっかり体調戻して、しっかり働くことです」
 玲人くんが怖くてビクビクしながら答えると、彼は冷ややかに告げる。

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