女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 もうこれ以上怒らせてはいけない。
 恐る恐る彼の顔色をうかがいながら一応自分の意気込みを伝えたら、彼が淡々とした口調で提案する。
「今こそ俺のことで頭一杯にして寝れば?」
「ああ。そうだね。そうします」
 ポンと手を叩いてニコッと笑えば、彼が「単純」とボソッと呟いて私にスマホを返す。
 それからふたりで寝室に行きベッドに入るが、やはり玲人くんを意識してなかなか寝られない。
 こうなったら自分の願望を現実にしてはどうだろう。
「ねえ、腕枕してくれたらうなされないかも」
 玲人くんの方を向いてお願いするけれど、冷たく断られた。
「図々しすぎる。外科医の腕をダメにするつもりか?」
「……そ、そうですよね。寝ます」
 ハハッと苦笑いしながら返して、玲人くんとは反対側を向いて目を閉じる。
「ねえ、明日晴れるかな?」
「さあ、晴れるんじゃない?」
 玲人くんが適当に答えて、部屋がシーンとする。
 ふたりでいるとこの静寂はキツイというか怖い。
「玲人くん、ケーキと饅頭と煎餅だったらどれが好き?」
 静寂が怖くてまた彼に話しかけると、素っ気ない返答が返ってきた。

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