女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「あ……それはノブレス・オブリージュってやつじゃないかと思います」
 今は現代だけど、私と玲人くんには身分の差がある。
 私は使用人で、彼はご主人さま。
 私が困窮しているから彼が救いの手を差し伸べた。そういうことだ。
「「へ?」」
 私の返答を聞いて、笠松先生と田中さんがキョトンとする。
 私たちの関係を言ってもすぐには理解してもらえないかも。
「な、なんでもないです。私が危なっかしいからじゃないですかね」
 笑って誤魔化すと、田辺さんがクリアファイルに入った書類一式を私に手渡す。
 それじゃあ、優里ちゃんはこの問診票持って二階の健診センターで健診受けてきて」
「はい」と返事をしたら、笠松先生が私の肩に手を回してきた。
「優里ちゃん、僕が健診センターまで案内してあげる……いてて!」
 笠松先生が顔を顰めたと思ったら、田中さんが彼の首根っこを掴んでいる。
「先生は自分の仕事してください。朝から予約いっぱい入ってるんですから」
「はいはい。仕事しますよ。優里ちゃん、またね」
 笠松先生はボヤキ気味に言うと、私にパチッとウィンクし、スタスタとエレベーターホールへ向かう。
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