女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「ホント、もう。笠松先生はどうしようもないんだから」
 腕を組んで怒りつつも笠松先生の後ろ姿をじっと見つめる田中さんは、恋する女の顔をしていた。
「笠松先生もカッコいいですね。田中さん……ひょっとして笠松先生のこと……あっ、なんでもないです」
 笠松先生が好きなんですか?と聞こうとしてやめた。
 余計なことだ。それに初対面の人に聞くなんて図々しすぎる。
「うん。好きよ。普段あんなだけど、仕事は有能だし、優しいの。あの私のことは真美って呼んでね」
 てっきり聞き流されるかと思ったけれど、彼女は少し困ったような顔で微笑み、告白する。
「はい、真美さん。私も玲人くん……玲人先生が好きです。健診センター行ってきます」
 にっこり微笑み、エレベーターに乗って健診を受けに行く。
 まず胸の検査を受けるが、五十代くらいの女医さんに、「あなた、玲人先生の知り合いなんですって?」と診察室に入ってすぐに聞かれた。
「はい。まあ幼馴染です。慶子先生のこともよく知っています」
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