女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「頑張らないと」
 ひとり気合いを入れエレベーターに乗ろうとしたら、子供とぶつかり、なにか床に落ちる音がした。
「キャッ、ごめんなさい」
 よろめきながら謝り、床に落ちていた本を拾い上げ、相手に手渡す。よく見ると、小学六年生くらいの美少年だった。
「こっちこそごめんなさい」と少年も私に頭を下げている。
 髪は黒く、サラサラで、天使の輪が見える。
 目鼻立ちもはっきりしているから、女の子にモテるだろうな。
「はい、これ。中学受験するの?」
 本は中学受験の算数の問題集だった。裏に松井健と名前が書いてある。
「はい。すみません。ありがとうございます」
 美少年は軽くお辞儀をしながら礼を言う。
「病院にまで問題集持ってくるなんて偉いね」
「昨日体調崩してまだ塾の宿題終わってなくて。今日も塾あるから」
 受験生は大変だ。受験シーズンに入ると、小学校ずっと休んで勉強する子もいるもんね。
「そっかあ。どこ受けるの?」
 気になって尋ねると、少年はニコッと笑顔で答える。
「ここの近くの国立中」

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