女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「そうなの? 拒否されるかと思った」
 嫌な会社だったけど、給料を払ってもらえるのは正直言って助かる。一刻も早く引っ越し資金を貯めないといけないから。
「とにかく、それであの件は終わる」
 おにぎりを持っていた手を止めて私にそう告げる彼に、笑顔で微笑んだ。
「うん。玲人くんには感謝してる」
 彼がいなかったら泣き寝入りしてただろう。
「感謝はいいから、しっかり働くように」
「わかってます」
「はい。これ、就職祝い」
 玲人くんがおにぎりを差し出したので、真顔で突っ込んだ。
「いや、これ私が作ったおにぎりだよ」
「食べろよ」
 私の口に無理矢理押し付けて、彼は私の左手を掴むと腕になにかをはめた。
「本物はこっち」
 フッと笑った彼がベルト、文字盤、インデックスをホワイトで統一した有名ブランドの時計を指差す。
 おにぎりを飲み込むように食べて、驚きの声を上げた。
「わっ、時計。……こんな高価なものいいの?」
 学生時代はネットで買った安物の時計をつけていたけれど、最近はスマホで時間がわかるからつけていなかった。
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