女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら～17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます～

「まあ、そういうことにしておいてやろう。だがな、四条副院長も優里ちゃんとお前のこと知っていて、よく思ってないみたいだぞ。いつまでも彼女とのこと曖昧にしておくと、後悔するぞ」
　笠松に忠告され、冷淡に返した。
「余計なお世話だよ」
　そう。父には何度か副院長室に呼び出され、『お前はなにを考えてるんだ？　使用人の孫と同棲なんてとんでもない。すぐに追い出せ』と叱責された。
　恐らく母から優里の話を聞いたのだろう。それに、病院でも俺と優里のことが噂になっていたから我慢ならなかったに違いない。
『困ってる人間を助けただけですよ』と説明しても、父は聞く耳を持たなかった。
　父は選民意識が高い。だから、実家で働いている人を下に見ていて、優里にも冷たかった。
優里の祖母が働けなくなるとすぐに、父は優里の祖母に実家から退去するよう命じたと姉から聞いている。母や姉が反対しても考えを変えなかったそうだ。
　俺は父のやり方には反対だし、今優里を追い出せば、彼女は生活に困窮することになる。
　だから、俺は父に従うつもりはない。
「はいはい。もう言わないよ。じゃあ」