女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 笠松が乳腺科のある三階で下り、俺も五階で下りて脳神経外科の医局に向かう。
 白衣に着替え、いつものように仕事をこなしていく。
 お昼になり一階のカフェでコーヒーとホットサンドをテイクアウトし、五階の医局に戻ろうとしたら、自販機のあるコーナーのテーブルに優里と俺が担当している小学六年生の男の子……松井健くんがいて足を止めた。
 なんだか病院なのに、ここだけ空気が違う。
 テーブルの上には問題集があって、優里が解き方を教えているようだが、彼女が首を傾げていた。
 そういえば今朝優里が小学生に勉強教えてるって言ってたっけ。
 まさか俺の患者とはな。
 なんだか見ていてほっこりする光景。
 優里はいつの間に彼と親しくなったのか。
 健くんは最初はうちの小児科を受診していたが、俺の義兄の猪瀬先生に『ちょっと診てもらいたい子がいる』と言われて、脳神経外科でいろいろ検査した結果、脳腫瘍と判明。数日前からうちの病棟に入院している。
 子供の脳腫瘍は進行も早いので、来週手術する予定だが、難しい手術になるだろう。手術で腫瘍を全部取り出せなければ、放射線治療か化学療法になって、長期入院になる。
 
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