女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
9,彼の告白
「玲人くん、待ってよ。歩くの速すぎ。ねえ、今日夏祭りあるらしいの。縁日とかいいよね。あと、花火もあるんだって」
ひとりスタスタと歩く玲人くんを追いかける。
並んで歩きたいのに、待ってくれない。
でも、今朝の彼はなんだかいつもと違う。
昨夜帰ってきた彼は、死にそうな顔をしていた。
生気がなくて、身に纏っている空気も重くて……。
仕事でなにかあったんだと察して、玲人くんをひとりで寝かせてあげようと思ったんだけど、彼は私を探してベランダにやってきた。
それでベッドに運ばれ、元気のない彼とどう接していいかわからなかった。
あんな彼を見たのは初めてだったから。
いつだって玲人くんは冷静沈着で、感情もあまり表に出さない。
その彼が見るからに落ち込んでいるのだ。
どうしたらいいか戸惑っていたら、驚いたことに彼が私を抱き寄せて……。
『今日……三歳の女の子の両親に脳死状態だって宣告して、臓器提供のお願いをしたんだ。女の子の両親はじっくり考えた末に承諾したけど、泣いてた』と、珍しく仕事の話をする。
機械の音声かと思うくらい抑揚のない声。
ひとりスタスタと歩く玲人くんを追いかける。
並んで歩きたいのに、待ってくれない。
でも、今朝の彼はなんだかいつもと違う。
昨夜帰ってきた彼は、死にそうな顔をしていた。
生気がなくて、身に纏っている空気も重くて……。
仕事でなにかあったんだと察して、玲人くんをひとりで寝かせてあげようと思ったんだけど、彼は私を探してベランダにやってきた。
それでベッドに運ばれ、元気のない彼とどう接していいかわからなかった。
あんな彼を見たのは初めてだったから。
いつだって玲人くんは冷静沈着で、感情もあまり表に出さない。
その彼が見るからに落ち込んでいるのだ。
どうしたらいいか戸惑っていたら、驚いたことに彼が私を抱き寄せて……。
『今日……三歳の女の子の両親に脳死状態だって宣告して、臓器提供のお願いをしたんだ。女の子の両親はじっくり考えた末に承諾したけど、泣いてた』と、珍しく仕事の話をする。
機械の音声かと思うくらい抑揚のない声。