女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 でも、玲人くんの悲しいっていう心情が私には伝わってきて、思わず彼を抱きしめた。
 彼はロボットじゃない。人間だ。辛い宣告をして、今苦しんでいる。
 嫌がられるかと思ったけど、彼は私の手を振り払わなかった。
『……そう。玲人くんも辛かったね。でも、自分を責めないで。玲人くんは魔法使いでも神でもない。きっと女の子の運命は決まっていたんだよ』
 いくら彼が優秀な脳外科医でも、すべての人を助けることはできない。
 気休めかもしれない。それでも、そう言葉をかけると、彼は『……そうだな』と私の肩に顎を乗せて答える。
 私の身体に直接彼の声が伝わってきて、なんだか泣けてきた。
『救える命だっていっぱいあるよ、玲人くん』
 私は知ってる。彼が日々努力していることを。
 アメリカの病院で多くのことを学び、彼は日本に帰ってきた。
 睡眠時間削って働いて、患者さんのためにその身を捧げている。
 彼のお陰で救われている命がたくさんあるのだ。
 玲人くんのメンタルが心配だったけど、朝起きると彼はいつもと変わらなかった。
 いや……ちょっと違う。
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