女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 私を見る目も、私に触れる手も、どこか優しくなった気がする。
 そんなことを振り返っていたら、彼が立ち止まって私を見つめてきた。
「ふーん。俺は仕事だから祭りなんて関係ない。お前は楽しんでくれば?」
 彼が甘い目で微笑んだのでドキッとする。
「れ、玲人くんは働きすぎだよ。勤務時間外でも残って仕事してるって笠松先生が言ってたよ。少しくらい休んだら?」
 動揺しつつも彼に注意したら、ツンと額を指で小突かれた。
「ついこの間まで深夜まで仕事してたお前に言われたくない。笠松の言うことも聞き流せ」
「私みたいに身体壊すよ」
 しつこく言ったら、彼がとても穏やかな目で笑った。
「大丈夫。俺はもう身体を休める方法知ってるから」
 なんというか、なにか達観したかのような清々しい顔。
 それだけじゃない。やっぱり私を見る目が優しいのだ。
 私の気のせい?
「玲人……くん?」
 玲人くんの変化に戸惑っていたら、彼に軽く肩を叩かれた。
「じゃあ。今日もしっかり仕事するんだね」
 受付の前で別れてエレベーターに玲人くんが向かおうとしたら、笠松先生が現れて私の手を握ってきた。
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