女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
「うん」
「ほら、あーん」
 玲人くんが真顔で箸を持ってお好み焼きを私の口まで持ってくる。
 これは夢でしょうか?
 あの冷たい玲人くんが私にあーんしてる。
「これ、動画撮っていい?」
 玲人くんにお願いしたら、彼が眉間にシワを寄せて怒った。
「早く食べろ。手が疲れる」
「は、はい。いただきます」
 慌ててパクッと口にして咀嚼するが、熱くて顔を顰めた。
「熱……あっ」
「馬鹿。子供みたいに食べるから、口にソースだってついてる」
 溜め息交じりに言って、彼は私の唇についたソースを指で拭い、ペロッと舐めた。
 その恋人のような仕草に目を丸くする私。
 やっぱりこれは夢かも。朝から玲人くんがおかしい。
 ふたりでお好み焼きを食べると、次はイカ焼き、じゃがバター、牛肉の串焼きを食べ、デザートにかき氷。
 全部彼と半分こした。
「じゃあ、帰るか」
 ひと通り露店を見て回ると玲人くんがそんな言葉をかけてきたので、足を止めて聞いた。
「え? 花火は?」
 好きな人と花火見るってずっと憧れだったんだけど。
「こんな人混みで立ったまま見ることない。もっといい場所がある」
 
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