女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 人生初のシャンパンは、喉越しがよくて美味しかった。
「シャンパンってこんなに美味しいんだね」
 私の感想を聞いてピンときたのか、彼が確認してきた。
「ひょっとして初めて?」
「学生時代はお金なくてバイトばっかりしてたし、会社の飲み会でもビールとかハイボールしか飲まなかったから」
 シャンパンなんて夢の飲み物だったなあ。
 ムードあるお店にも行ったことないし、そもそも相手がいなかったしね。
「ああ」
 私の返答を聞いて、納得した顔で彼が頷いた。
「花火にシャンパンに玲人くん。すっごく贅沢」
 シャンパングラス口にしながらニンマリしたら、彼が「なにそれ?」と引き気味に突っ込んできた。
「だって、こんな幸せなことないもん」
 来年ここで花火は多分見られないし。
 ひとりはしゃぐ私を見て、彼がフッと微笑した。
「お前ってお手軽」
「そうかな? 最高の贅沢だよ。それにしても、玲人くんの浴衣姿いいねえ。白衣もいいけど、カッコいい」
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