女嫌いの天才脳外科医が激愛に目覚めたら~17年脈ナシだったのに、容赦なく独占されてます~
 作ってあげると言おうとしてやめたら、彼が首を傾げて聞き返してきた。
「なに? 途中で言うのやめられると気になるんだけど」
 彼が微かに顔を顰める。
 あっ、せっかくいい空気だったのに怒らせちゃう。
「ここで栗ご飯作るってことは、秋まで居座ることになるから、約束はできないなって……」
 躊躇いながらもい思っていることを伝えたら、彼が椅子の背に持たれて私を冷ややかに見据えた。
「今、貯蓄額がゼロに近いのに、もう秋に引っ越しできると思ってるの?」
 うっ、お説教モード。
「だって……玲人くんにそんなずっと迷惑かけられないよ」
 私の気持ちも理解してもらいたくてそう言い返したら、彼が少し表情を和らげて私に告げる。
「だから、俺は迷惑だなんて思ってない。ずっといればいい」
 ずっと?
 彼の言い間違いかもしれない。
「そんな甘いこと言うと、本当にこのまま居座っちゃうよ」
 私がこう言えば、「それは勘弁」と玲人くんは言うはず。だけど私の読みは外れた。
「いいんじゃないの」
 淡々と返す彼の表情はいつもと変わらなくて、混乱した。
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